忘れてもらえないの歌

このブログはネタバレを含みますのでご注意下さい。

初日公演にお邪魔しました。
俺節のときに初日に入って、あの時の感動は忘れられず、絶対に初日公演に入りたい!と思っていました。

こんなにも言葉にならない、リアルな舞台ってあるだろうか

冒頭、主要メンバーがガルボに集い歌って踊って、現実(戦争)から離れ、楽しそうだった。警察も摘発しつつどこかこの店に愛着を持っていそうで、この楽しそうな世界にすぐに引き込まれていった。
東京大空襲の時、警察がすぐに逃げろと言いに来たのも少し心があったかくなった。逃げる時にこの店の事が頭に浮かんだんだなって。
空襲のシーンは本当に目を瞑りたくなるようなシーンだった。滝野くんがガルボに駆け込んだ時、今思えばお酒じゃなくてレコードをとりに来たんじゃないかななんて思う。
死んだ目をした人達の中にいる滝野さんのシーンも凄く怖くて自分も滝野さんみたいな気持ちになったし、でも私は当事者ではないから滝野さんではなくて、ただこんなにも酷かったんだと思う事しか出来ないんだなと感じたし、でも当事者にはなりたくないとも思った。
正直ここまでリアルに戦争を描くと思っていなくて、失礼になるかもしれないんだけど、少年たちで見れなかった戦争描写をここでやっと見れた気もした。

闇市でみんなが集まっていく所、アカペラでやってバンドとして雇ってもらう所、楽器練習や楽譜集めて、駅でラジオ聞いて覚えて…もう鳥肌が立つ楽しい名シーンが多すぎた。どんどんバンドが成長していくのが本当に楽しかった。
言葉が通じない相手への恐怖感とか、本当に色んなことがリアルだったけど音楽で通じ合ったりとにかく楽しかった。
1幕ラストガンガンに盛り上がってステージが舞台の前まで進んできて、滝野さんはステージの前の箱に足かけて楽しそうに歌って、メンバーもみんな楽しそうでこっちもすっっつっごい楽しかった!
のに、記者の人が「その時はまだ悪い予感のかけらもなかったんですねぇ、滝野さんも顔が暗くなってきた」って不安煽る事言って終わるのがもうさ…「並びますよ〜?トイレ」はめちゃくちゃ笑ったけど!1幕めちゃくちゃ楽しかったから私的には1幕で終わって欲しかったような気もしてしまう。

2幕、滝野さんが今後もバンド続けたいけどその為にはお金が必要、稼げるバンドにならないと!と思ってた矢先の軍の撤退、仲間のすれ違い、それにずっと不機嫌になるメンバーの所行って何度も何度もなんとか、一緒にやってもらおうと上手い事言って繋ぎ止める滝野さんが本当に見てて苦しかった。
メンバーみんな自由すぎるんだもん。怒ったらすぐ辞める!ってどっか行こうとして(どっか行っちゃって)。滝野さんがお金お金言ってたのは、勿論あの人が心が無くなってた戦争の時みたいになりたくないという気持ちや生きていかなきゃいけないっていうこともあれど、お金の話が1番結局みんなを繋ぎ止められる言葉だったんだなって。
私自身もなんか変に周りの顔見て気つかったりして疲れてしまうような人だから滝野さんがパタパタあっちいってこっちいってってして、頑張ってるのに、結局自分1人になってしまって、それでも待ち続けてるのがもう苦しくて堪らなかった。
滝野さんがみんなを集めてまた曲を作るシーンはすごくあったかくて楽しかったなぁ。大くんにはびっくりしたけど。
ラストに向けての、ポスターやグッズや題の謎が、パズルのピースが埋まっていくみたいにわかっていくのが気持ち良くもあり、切なかった。
凄く凄く楽しくて幸せでこのバンドが好きだなぁって思ってたのに、まさか詐欺にあっていて、それをまた滝野さんが背負ってしまっていて、、。
全員が悲しくて考えた詩やメロディ、時間、楽しい気持ちやワクワク感全部奪われたけど、滝野さんはそれに借金とガルボまで失ってしまうのがもう本当に堪らなかった。
絶望に落ちて帰っていくバンドメンバーの中で、麻子が「セピア色にして古いジャズをかければいい出来事だったような勘違いができる」って言った瞬間、パッとメンバーのライトがセピア色になって、笑って帰っていく。
残された滝野さんだけ白いスポットライトのままで、まだ、ずっと音楽を好きで思い出には出来なくて。
本当に苦しかった。「忘れてもらえないの歌」というタイトルの意味、それがわかった瞬間のハッとさせられる感じ、血の気が少し引くような感じ。
そんな事って。ただただ、可愛らしい題だな、って、不思議な言い回しだななんて思ってた脳をガンと殴られた感じ。
歌っている時の突然の取り壊しは心臓に悪すぎたあんなに大切にしてきたガルボが壊されていくのは胸が痛かったし、カモンテ以外は誰も聞いてくれない歌。辛くてうまく入ってこなかった。
何もなくなったガランとした舞台、夕焼け、、
カモンテの「忘れてあげる!」
滝野さん「ハハッ!」
バンッと音をたてて照明が真っ暗になって舞台が幕を閉じる

客席みんなが呆気にとられてた気がする。これで終わりなの?これがラスト?って。あんな沈黙ないなって。初日ならではだったと思う。
私にはあまりにも切なく辛いラストだった。
最後の滝野さんの笑い方はまさに辛い時のそれで、とても乾いた、恐怖さえ覚える笑い方だった。もうずっと頭の中に残ってる。

違う作品だけれど、正直俺節と対比してしまう。
どちらも駆け上がるも地に落ちる、ハッピーエンドではない作品だけれど。
俺節はラスト、聞いてもらえない観客をも黙らせ、そう人生うまくいかないもんだけど、仲間と笑って終わった。
滝野さんは、カモンテ以外に誰にも聞いてもらえず振り向いてももらえず、1人きりになって全て失って終わる。

辛すぎてもう見れないと思った。
私には辛かった。何度も見たら悩んで苦しくて潰れそうだった。舞台はほんとうにエネルギーのぶつかり合いだし、そのエネルギーが大きくて、本当に感動したし、素敵な作品だったけど、辛かった。

キャラクターもみんな素敵で大好きだけどみんなが幸せであるように祈るしかできない。なんでこの人達がって思ってしまうけど、当時こんな人達少なくなかったのかなみたいにも思ったり。
滝野さんと稲荷くんがオキナワとコージみたいで、演じてる人は逆で面白かった。他にも沢山俺節にもでてた演者さんが出ていて楽しかったな。今回の脇役で大好きなのはスレッガー中佐ですかっこよすぎる。
佐野昌哉くん初めて見たけど身長小さめだと思ったからめちゃくちゃ背高くて足長くてびびった。可愛かったし17歳現役高校生ってことも今回知ってめちゃくちゃビビってる。東京一人暮らし大丈夫だった?ってみんなママになっちゃうよね。歌もお上手だったしドラムもカッコ良かったよ〜!なんでですかぁってむぅってほっぺ膨らましたりぴょんぴょん駆け回ってる感じかわいかった〜〜、、キスシーンはマジでなんかあんまりなんも考えてなさそうなのに自分にできる事ばってしてしかもキスした時と後の顔がめちゃくちゃ男で頭抱えた。アイドルになったキャラもめちゃくちゃ面白かったし昭和のアイドルぶちかましてて好きでした!これからもっと露出増えるといいなぁ!全国ツアー頑張ってください!

違ったらごめんなんだけど、主要メンバーというか、バンドメンバーみんな、ラストはけていく前みんな笑って、笑顔でハケていったのが印象的だったな。幸せそうであり残酷な感じ。
滝野さんの笑顔は公演重ねて変わったのか少し気になる。
あと、ずっとストーリーテラー的に居た記者はなんなんだろう?滝野さんが昔を語ってるから、滝野さんは売れたのかな?でもラストのガルボに居たよね?歌〜解体作業の間にいつの間にか居なくなったけど。滝野さんの妄想だったのかな。それが凄く気になる。失礼かもしれないけど壊されてる時点の滝野さんは別に取材されるような存在ではないもんね、、。それだけが気になる。

あと、1幕か2幕か忘れてしまったんだけど、みんなの夢の夢を稲荷くんが見てたシーンで、麻子ちゃんが先生になるのが夢だった事を稲荷くんだけに話してたんだなぁって。あと殺しちゃって、血が怖い滝野さんがちょっとマニアックみあるなぁなんて思いました。あのダンスと歌独特でかわいかったな。


ポスターのセピア色が全部思い出なのだとしたら、バンドは勿論セピア色で、いい出来事だったことになってるけど、滝野さんが1人のポスターもあって、それはつまり、滝野さんも一人でギター弾いて歌っていた事をいい出来事、思い出にしてしまったんだなと思うと胸がギューってなる。
ギターを売りそうになってもやっぱり売れなかったり、あんなに音楽で生きようとしてたのに。
ギターは売ってしまったかなぁ。
赤坂は滝野さん1人のポスター、大阪は全員のポスターなのも意味があるのかな。赤坂はまるで劇場がガルボで滝野さんがここで1人で待ってるみたいに感じた。バーもあるし。
大阪はまるで写真立てみたいにポスターが貼ってあるから、楽しかった思い出を眺めてるみたいだなって勝手に思ってる。
勝手に膨らましてる妄想だけど。

カテコはみんな解けたような表情であったかかったな。真面目なカテコなかんじはあったけど笑
辛くて苦しかったけどでも凄く夢を見れて楽しかった!

滝野さんとみんなが幸せな未来を歩んで、幸せな笑顔で笑っていられるといいな。

大千秋楽おめでとうございます。